成約ストーリー

正和電工株式会社
代表取締役 橘井 敏弘
(北海道/バイオトイレなど環境機器の製造・販売)
代表取締役 橘井 敏弘
(北海道/バイオトイレなど環境機器の製造・販売)
世界が抱える社会課題に挑む
老舗企業が託したバイオトイレの未来
老舗企業が託したバイオトイレの未来
正和電工はもともと家電の卸売事業を手がけていらっしゃったと伺いました。 そこから「バイオトイレ」という、まったく異なる分野に着目されたのは、 どのような経緯があったのでしょうか。
<橘井氏>
45歳で胃がんを患い、食事を以前より残すようになってしまったことがきっかけです。生ごみ処理機に興味を持ち、展示会で情報収集をするうち、ある専門家から「人間のし尿はもっと早く分解する。誰もやりたがらないだけだ」と聞きました。「それなら私がやろう」と決意したのが、今のバイオトイレ事業の原点です。
ただ、当社は工場を持たないファブレス経営のため、
製造パートナーが必要でした。そこで地元の銀行に相談し、高い技術力を持つステンレス加工工場を紹介していただいたのです。この信頼できるパートナーとの出会いによって、事業をスタートさせることができました。
45歳で胃がんを患い、食事を以前より残すようになってしまったことがきっかけです。生ごみ処理機に興味を持ち、展示会で情報収集をするうち、ある専門家から「人間のし尿はもっと早く分解する。誰もやりたがらないだけだ」と聞きました。「それなら私がやろう」と決意したのが、今のバイオトイレ事業の原点です。
ただ、当社は工場を持たないファブレス経営のため、
製造パートナーが必要でした。そこで地元の銀行に相談し、高い技術力を持つステンレス加工工場を紹介していただいたのです。この信頼できるパートナーとの出会いによって、事業をスタートさせることができました。

譲渡を検討なさったきっかけ、お相手探しにおいて大事にしていたことを教えてください。
<橘井氏>
譲渡を考えた一番の理由は、やはり年齢です。78歳になり、振り返ればこれまで製品開発に打ち込みながら、やりたいことはひと通りやりきったという達成感がありました。そのタイミングで、ふと「そろそろ次の社長を決めておかないと、社員たちが路頭に迷ってしまう」と考え、事業承継を真剣に決意しました。実はM&Aという手法自体は、10年以上前から銀行主催の勉強会に参加して知識を得ており、有力な選択肢の一つだと認識していました。
お相手探しで最も重視したのは、私たちが開発した製品の販路、特に海外販路をしっかりと引き継ぎ、さらに発展させてくれることでした。当社は北海道の小さな会社ですが、JICAの案件やベトナムとの取引など海外での実績も多く、この流れを大切にしてくれる会社を望んでいました。
しかし、当初はなかなか良いご縁に恵まれませんでした。銀行から紹介された大手企業とも面談しましたが、当社の売上規模をお伝えしても、(企業の価値評価について)桁が一つも二つも違う話をされるなど、事業規模の感覚が全く噛み合いませんでした。また、失礼ながら「買ってあげるんだ」というような姿勢を感じることも少なくありませんでした。対等なパートナーとして未来を託せる相手はいないものかと考えていた時、エムレイスさんから水道機工さんを紹介いただき、「この会社となら」と初めて感じたのが、全ての始まりです。
譲渡を考えた一番の理由は、やはり年齢です。78歳になり、振り返ればこれまで製品開発に打ち込みながら、やりたいことはひと通りやりきったという達成感がありました。そのタイミングで、ふと「そろそろ次の社長を決めておかないと、社員たちが路頭に迷ってしまう」と考え、事業承継を真剣に決意しました。実はM&Aという手法自体は、10年以上前から銀行主催の勉強会に参加して知識を得ており、有力な選択肢の一つだと認識していました。
お相手探しで最も重視したのは、私たちが開発した製品の販路、特に海外販路をしっかりと引き継ぎ、さらに発展させてくれることでした。当社は北海道の小さな会社ですが、JICAの案件やベトナムとの取引など海外での実績も多く、この流れを大切にしてくれる会社を望んでいました。
しかし、当初はなかなか良いご縁に恵まれませんでした。銀行から紹介された大手企業とも面談しましたが、当社の売上規模をお伝えしても、(企業の価値評価について)桁が一つも二つも違う話をされるなど、事業規模の感覚が全く噛み合いませんでした。また、失礼ながら「買ってあげるんだ」というような姿勢を感じることも少なくありませんでした。対等なパートナーとして未来を託せる相手はいないものかと考えていた時、エムレイスさんから水道機工さんを紹介いただき、「この会社となら」と初めて感じたのが、全ての始まりです。

正和電工社を紹介された際の率直な感想を教えてください
<丸山氏>
弊社には、自治体向けに自社製品の販売を行う部門と、浄水場内の機械設備の維持管理等をメインとする水機テクノスという子会社があります。これらの部署では、浄水場などの関係各所に出入りしているのですが、より付加価値の高い商材、製品はないものかと日頃から課題として感じていました。
そんな折、正和電工社の製品を知るに至り、我々が求めていた製品なのではないかということで興味を持ちました。
弊社には、自治体向けに自社製品の販売を行う部門と、浄水場内の機械設備の維持管理等をメインとする水機テクノスという子会社があります。これらの部署では、浄水場などの関係各所に出入りしているのですが、より付加価値の高い商材、製品はないものかと日頃から課題として感じていました。
そんな折、正和電工社の製品を知るに至り、我々が求めていた製品なのではないかということで興味を持ちました。

買収を決断された理由をお聞かせください。
<丸山氏>
製品の独自性と優位性に、当社の営業リソースを組み合わせることで、販売促進が期待できると確信できたことが、今回の決断における最大の理由です。
また、検討を進める中で製品への引き合いが既に少なからずあったことや、経営者ご自身の優れた発信力もプラス要因になると感じました。
今回のM&Aにより、これまで当社になかった水関連分野の商品を獲得でき、グループとして課題解決の範囲を広げることが可能になると考えています。
製品の独自性と優位性に、当社の営業リソースを組み合わせることで、販売促進が期待できると確信できたことが、今回の決断における最大の理由です。
また、検討を進める中で製品への引き合いが既に少なからずあったことや、経営者ご自身の優れた発信力もプラス要因になると感じました。
今回のM&Aにより、これまで当社になかった水関連分野の商品を獲得でき、グループとして課題解決の範囲を広げることが可能になると考えています。

今回のM&Aは、水道機工の主事業とは異なる分野への挑戦にも見えます。社内からは反対の声や慎重な意見はありませんでしたか。また、もしあったとすれば、どのようにして合意形成を図られたのでしょうか。
<丸山氏>
はい。社内の一部からは反対の声がありました。
「水道事業という本来の生業から離れている」「本当に売れるのか」といった懸念です。しかし、私や案件を推進する側の社員は、災害復旧現場におけるトイレ問題のような、「一般には知られにくいものの確実に存在する課題」を認識していました。
また、販売に関しても十分な経験があったため、マーケットへの仮説検証とPDCAサイクルを回せば、優れた製品は必ず売れるという確信がありました。この点を力説し、最終的には「結果が出なければ責任を取る」という覚悟で押し進めた側面もあります。
加えて、同じ役所へ営業に行くのであれば、提案できる商材は多い方が効率的です。この体制を整備するだけでも、反対派を納得させられるだけの販売実績は可能だと見込んでいました。最後は直感もあったかもしれませんが、こうした見込みに基づき決断いたしました。
はい。社内の一部からは反対の声がありました。
「水道事業という本来の生業から離れている」「本当に売れるのか」といった懸念です。しかし、私や案件を推進する側の社員は、災害復旧現場におけるトイレ問題のような、「一般には知られにくいものの確実に存在する課題」を認識していました。
また、販売に関しても十分な経験があったため、マーケットへの仮説検証とPDCAサイクルを回せば、優れた製品は必ず売れるという確信がありました。この点を力説し、最終的には「結果が出なければ責任を取る」という覚悟で押し進めた側面もあります。
加えて、同じ役所へ営業に行くのであれば、提案できる商材は多い方が効率的です。この体制を整備するだけでも、反対派を納得させられるだけの販売実績は可能だと見込んでいました。最後は直感もあったかもしれませんが、こうした見込みに基づき決断いたしました。

案件成立に至るまでのご心情と現在の心境についてお教えください。
<丸山氏>
当初「この製品は付加価値を上げられるものだ」という認識はしていましたが、具体的な販売・営業方法のイメージは持てていませんでした。
しかし正和電工との協議や弊社での市場調査・分析を重ね、現在では具体的な販売戦略のイメージが明確になっています。その結果、協業によって必ず成果を出せると確信するに至りました。現在は立てた計画を着実に実行している段階です。成果が表れるのはまだ先ですが、プロセスは十分なスピード感で進んでおり、1年後、2年後の展開を非常に楽しみにしています。
当初「この製品は付加価値を上げられるものだ」という認識はしていましたが、具体的な販売・営業方法のイメージは持てていませんでした。
しかし正和電工との協議や弊社での市場調査・分析を重ね、現在では具体的な販売戦略のイメージが明確になっています。その結果、協業によって必ず成果を出せると確信するに至りました。現在は立てた計画を着実に実行している段階です。成果が表れるのはまだ先ですが、プロセスは十分なスピード感で進んでおり、1年後、2年後の展開を非常に楽しみにしています。

譲渡後の状況や、今後の展望をお聞かせください。
<橘井氏>
舞い込んでくる話のスケールが格段に大きくなりました。能登半島地震の被災地支援では災害用トイレを迅速に開発し、内閣府に提案しています。また海外では、親会社の浄水技術と組み合わせることで、大型商談にも発展しています。
私たちの技術は、微生物を利用したシンプルな仕組みが強みです。日本では「災害」と深刻化する「下水道の老朽化」を背景に、水を使わないトイレへの注目が非常に高まっており、資料請求も後を絶ちません。この技術で、国内外の社会課題の解決に貢献できると確信しています。
<丸山氏>
当社には、自社製品を販売する部門と、インフラの維持管理を事業とする会社(水機テクノス)があります。今回の商材は、その双方にとって有益だと考えています。これまでは水道関連の課題解決が中心でしたが、この商材を持つことで、行政が抱えるより幅広い困りごとも把握する機会を得られると考えています。
この商材をきっかけにお客様から相談をいただく関係を築き、そこから更に次の課題を発見し、新たな商材の導入につなげる。そうすることで、インフラ整備の現場で発生している問題を、我々が企業として解決していく。今回のM&Aは、その実現に向けた重要な第一歩になる、大きな可能性を秘めていると捉えています。
また近年、南海トラフ地震への懸念や、2024年1月に発生したの能登半島地震などを受け、全国的に災害対策への関心が高まっています。特に首都圏から東海、関西に至る地域では、行政も住民も対策を重要視しています。こうした状況下で、この製品は災害の予防策や発災時の対策品として非常に有望であり、私たちもその可能性に強く着目しています。
舞い込んでくる話のスケールが格段に大きくなりました。能登半島地震の被災地支援では災害用トイレを迅速に開発し、内閣府に提案しています。また海外では、親会社の浄水技術と組み合わせることで、大型商談にも発展しています。
私たちの技術は、微生物を利用したシンプルな仕組みが強みです。日本では「災害」と深刻化する「下水道の老朽化」を背景に、水を使わないトイレへの注目が非常に高まっており、資料請求も後を絶ちません。この技術で、国内外の社会課題の解決に貢献できると確信しています。
<丸山氏>
当社には、自社製品を販売する部門と、インフラの維持管理を事業とする会社(水機テクノス)があります。今回の商材は、その双方にとって有益だと考えています。これまでは水道関連の課題解決が中心でしたが、この商材を持つことで、行政が抱えるより幅広い困りごとも把握する機会を得られると考えています。
この商材をきっかけにお客様から相談をいただく関係を築き、そこから更に次の課題を発見し、新たな商材の導入につなげる。そうすることで、インフラ整備の現場で発生している問題を、我々が企業として解決していく。今回のM&Aは、その実現に向けた重要な第一歩になる、大きな可能性を秘めていると捉えています。
また近年、南海トラフ地震への懸念や、2024年1月に発生したの能登半島地震などを受け、全国的に災害対策への関心が高まっています。特に首都圏から東海、関西に至る地域では、行政も住民も対策を重要視しています。こうした状況下で、この製品は災害の予防策や発災時の対策品として非常に有望であり、私たちもその可能性に強く着目しています。

M&Aを進めるにあたって、エムレイスの対応はいかがでしたか?
<橘井氏>
M&Aでは価格も大事ですが、それ以上に会社の未来と社員のことを思う気持ちが重要でした。私自身もう80歳を目前にして、個人的な欲はほとんどありませんからね。
エムレイスの担当者は、私たちのために何度も足を運んでくれました。誠実に対応してくれる姿を見て、当初の半信半疑な気持ちが、だんだんと大きな信頼に変わっていきました。最終的な価格交渉の過程も含め、納得して会社を託すことができました。
生きているうちに納得できる形で会社を未来につなぐという、素晴らしい機会を与えてくれた会社です。同じように悩んでいる経営者の方にも、ぜひ紹介したいと思っています。
<丸山氏>
単なる仲介役としてではなく、企業価値向上や協業といった視点からディスカッションに深く参画してくださったことで、私たちも社内を説得する上で多くのヒントを得ることができました。大げさではなく、エムレイスの丁寧なサポートがなければ、このM&Aは成立しなかったと思います。
終始丁寧にご対応いただいたことに、感謝しております。
M&Aでは価格も大事ですが、それ以上に会社の未来と社員のことを思う気持ちが重要でした。私自身もう80歳を目前にして、個人的な欲はほとんどありませんからね。
エムレイスの担当者は、私たちのために何度も足を運んでくれました。誠実に対応してくれる姿を見て、当初の半信半疑な気持ちが、だんだんと大きな信頼に変わっていきました。最終的な価格交渉の過程も含め、納得して会社を託すことができました。
生きているうちに納得できる形で会社を未来につなぐという、素晴らしい機会を与えてくれた会社です。同じように悩んでいる経営者の方にも、ぜひ紹介したいと思っています。
<丸山氏>
単なる仲介役としてではなく、企業価値向上や協業といった視点からディスカッションに深く参画してくださったことで、私たちも社内を説得する上で多くのヒントを得ることができました。大げさではなく、エムレイスの丁寧なサポートがなければ、このM&Aは成立しなかったと思います。
終始丁寧にご対応いただいたことに、感謝しております。
